『サヨナラノツバサ』のエンディングは、マクロスシリーズとしての一つの終わり、そして新たな始まりにも思えた。
―― 「ザ・ミュージカルチャー」のストーリー、演出についてお話をお聞かせください。
河森:最初は、歌姫の人数も多いしどうなるのか心配もありましたが、とてもに上手くまとめられていきましたね。ミュージカルって歌シーンに尺(時間)をとられるので、大変じゃないですか。レヴューショー的なタイプとは違って、人間を描かないといけない。その中で対立軸もあったりと複雑だと思うのですが、その辺りは本当にうまく消化されていました。
茅野:その辺りは脚本の三井秀樹さんにも頑張っていただきました。キャラクターについては、逆に僕らがアニメに見習わせていただいた部分もあります。マクロスのキャラクターは凄く個性がハッキリしていて、魅力的ですよね。シェリルやランカが喋ったりするのを見ているだけで引きずり込まれて、キャラクターを追いたくなる。ストーリーよりも人物を追うことで物語に入り込めるじゃないですか。僕はシェリルが好きなので、そういう理由もあって、『サヨナラノツバサ』のラストシーンが大好きです(笑)。アルトがシェリルを選んでくれたのは嬉しいのだけど、伝えたい愛の言葉は途中で途切れてバジュラと消えてしまう。そしてシェリルはランカと血で繋がれながら、眠れる森の美女のように、アルトが帰ってくるのをずっと待っている。永遠を感じますよね。ああいう表現は凄いと思います。悲しい終わり方だけど、ほんのちょっとだけ希望が残っている。そして人類にも希望が残されていて……素晴らしいエンディングだなと。マクロスシリーズとしての一つの終わり、そして新たな始まりにも思えて。だから『敵わない』と思ったんですよね。
マクロスの歴史と『今』を歌う気持ちの時を越えた融合を楽しみにしています。
河森:何年も、多くのスタッフの力を借りて作ってきて、その中で音楽もハネケン(羽田健太郎)さんから菅野よう子さんと色々とやってきて……そうやって積み上げられてきたのが、マクロスという一つの歴史になっているわけですね。今回は、それをキャストのみんなが歌ってくれる。それはマクロスの歴史というシチュエーションに加えて、『今』を歌うという気持ちも入っていると思うので、その時を越えた融合を楽しみにしています。