特別対談記事を二回に渡り公開!「ザ・ミュージカルチャー」秘話が満載!
前編では、“マクロス作品”としての舞台化について、改めてお二人の思いを語っていただきました。
『マクロスFを作れ』と言われていたら、それは無理だと返すつもりでした。
―― 同じく演出を行う立場のお二人ですが、今回の「マクロス」ミュージカル化に対する印象はいかがでしょうか。
河森:元々ミュージカルは好きでよく見るのですが、生で出来ることへの羨ましさ、そして大変さを凄く感じますね。キャストさんについては(ミュージカルチャーの)オーディションも拝見しましたが、歌・踊り・演技と三拍子を揃えるというのは、本当に大変ですよね。今回はミュージカル化ということで、“映像メディア”と“生身のメディア”の文法の違いをどう表現されるのかが非常に楽しみだったのですが、両者がうまく生かされた物語になっていきました。作品の焼き直しではなく、オリジナル作品が出来て良かったと思います。
茅野:僕もオリジナルで作らせてもらえてよかったです。実はこの話をいただいて初めて初代(超時空要塞マクロス)からシリーズを追ったのですが、マクロスF劇場版(前編イツワリノウタヒメ〜完結編サヨナラノツバサ)まで見て、『こんな凄いアニメがあったのか!』と、びっくりしました。『こんなの絶低無理だよ、敵わないじゃん!』というのが第一印象です(笑)。だからもし、『マクロスFを作れ』と言われていたら、それは無理だと返すつもりでした。だけど『今までの曲を使ったオリジナル作品』という話でしたので、それならなんとか勝負できるかなと。やるぞ!という気持ちになりました。
あえて舞台版では『宇宙戦争いらない』。
河森:最近は舞台でも映像を取り込んだりと、お金をかければある程度はなんでも出来ところに来てしまっているので、アニメの現場ではそういう演出に負けないように作らなきゃという気持ちはありました。ただ実際に舞台を見るときは、そういう(お金のかかった)演出ももちろん良いんだけど、劇場のセットというより役者の演技で見せる表現が好きなんです。ブロードウェイとかに行ってもオンよりオフが好きなタイプなので。あえて舞台版では『宇宙戦争いらない』なんて言っちゃうのはそういう意味もありますね。
茅野:最初はバルキリーとかバジュラとか、戦闘シーンをどう表現しようか悩みましたが、監督からその部分に拘らなくていいと言ってもらえたので助かりました。他の部分でも河森監督が凄くお芝居を分かられている方だったので、具体的なアイディアをどんどん舞台版に取り込むことができました。演出家って普段は人から意見されることが少ないんですよね。だから、俺、ダメ出しとかが大嫌いで、人から助言されたりアドバイスされたりすると『畜生!』とか思っちゃうんです。でも監督に言われると納得できちゃうんですよね。リクエストの仕方がとても的確で気持ちいいんですよ。『なるほど、そりゃそうだよな!』って、スーっと入ってくる。そういうのも凄く新鮮な体験です。